820: 名無しさん@どーでもいいことだが。 2005/05/26(木) 14:32:03 ID:o+Vv30wE
その日は曇りだったので、傘をハンドルにかけ予約していた歯医者に行った。 
が、その途中傘が前輪に引っかかり転倒。 
怪我はかすり傷程度だったが、前輪のフレームが内側に曲がって引っかかった 
状態になってしまい、タイヤが全く動かなくなってしまった。 


引用元: あなたの心がなごむとき~第20章









仕方がないので歯医者の予約はキャンセルして、自転車を道の端に移動させ
曲がったフレームを直そうとするのだがピクリともしない。
10分20分と時間だけが過ぎていく。
直らない苛々と道行く人の不躾な視線で思わず泣き出しそうになった時に、
数分前に前を通過していった大型トラックが目の前に止まった。
「どうした?」
「あ…フレームが曲がって動かなくて…」
途切れ途切れにそう言うと、おじさんはフレームに手をかけあっと言う間に
直してくれた。
思いがけない優しさに思わず泣き出そうになったが『泣いたら迷惑がかかる』
と思い必死に我慢した。
おじさんは、何も言わず立ち去っていった。
帰り道、自転車に乗りながらボロボロ泣いた。
家についてもまだ涙は止まらず、家族に見られるのが恥ずかしかったので
玄関前で泣いていたら、普段名前を呼んでも見向きもしない近所のぬこが
足元にすりよってきて「にゃあー」と鳴いた。

涙が止まらなくなった。